濹堤通信社綺談

東都の外れ、隅田川のほとりから。平易かつ簡明、写真入りにて時たま駄文を発行いたします。

競馬場でビールが飲みたい

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 競馬場に行きたい。
 5月も終わりを迎え、そろそろ梅雨の足音が聞こえてきているどころか、その先の夏の気配さえ感じてきている。食材の管理や新調したゲーミングPCの排熱など憂鬱なことは多々あるが、ビールが美味しくなるのは喜ばしい。
 いや、ビールはいつだって美味い。そりゃあそうだ。雪が残る真冬の丹沢で、凍えながら飲んだキリンラガーはキリリと締まって震えるほどに美味かった。やることをすべて放り出し、休みの午前中に「プシッ」としてしまう缶ビールは背徳の蜜の味だ。
 そんなことを言うまでもなく、今頃の初夏の爽やかな風が吹き抜ける中で窓を開けて飲むビールはめちゃめちゃに美味い。最近、グランドキリンIPAに凝っている。華やかで爽やかで、実に今向きのビールなのでオススメです。

 しかしながら断言する。一番美味くビールが飲める場所、それは競馬場である。
 例えば、東京競馬場。G1レースのある日だと大変な人混みでビールどころではないので、G3くらいだと丁度いい。土曜日だったらもっとゆったりと楽しめる。最近の競馬場は単なるギャンブルの場ではないとJRAが頑張って発信し続け、様々なメディアでも言及されているがその通りだ。例えるならば東京競馬場はディズニーシーである。酒が飲めるからね。
 府中に行くのなら、僕はだいたい昼くらいに着くようにする。一人でも、複数人で行くのでも、5レースくらいに着くとちょうどいい。4レースと5レースの間に人がわっと店に押し寄せるので、それが一段落した頃合いを狙うのだ。
 「競馬場グルメ」などと持て囃されて久しいが、競馬場で物を食べるのには困らない。コンビニからおなじみのファストフード、昔ながらのスタンドのカレーまで、競馬場には何でも揃っている。その中でも僕が気に入っているのは、馬場内と呼ばれるコースの内側。そこに出ている屋台だ。競馬場というのは、僕にとって間違いなく遊びという「ハレ」の場であり、屋台の食べ物というのも「祭り」を思い起こさせて「ハレ」感を高めてくれる。それに、ただでさえ広々とした競馬場の、緑の芝生が広がるコースの真ん中で飯を食うというのは最高に気分がいい。
 そして、忘れてはいけないのがビールだ。競馬場でビールを買うのは容易い。そこかしこでビールを売っている。ここで飲むのなら、やはりヱビスでしょう。日本で一番「ハレ」の気配ある伝統のビール。すぐ近くにサントリーの工場があるが、そんなことはどうでもいい。ちなみに府中で売ってるサントリーリザーブの水割りは、びっくりするほど「水」なので、自前のウィスキーを持っていくのをおすすめする。

 競馬場ビールにおける「爽やかさ」の頂点が府中の東京競馬場であるなら、対象的に「しみじみと」飲めるのが船橋競馬場だ。
 船橋は、いい。まず何がいいって、いつ行っても空いている。いいのか悪いのかわからないが、見る方としてはありがたい。もしもあなたが、満員の東京競馬場大井競馬場しか知らなければ驚くだろう。いや、多分「引く」。売店の前にある飲食スペースですら、いつ行っても空席がある。スタンドなんてガラガラだ。東京湾から吹いてくる風に吹かれて、IKEAららぽーとを見ながらビールが飲めるのはそれだけでも気分がいい。
 船橋競馬場には、東京競馬場大井競馬場のような華やかさはない。スタンドなんて、まるで古い病院か役所かというような建物で端的にボロい。「レジャー」の場を体現するかのように家族連れやカップル、その他グループの目立つ東京競馬場や、仕事帰りに「夜遊び方改革」しているホワイトカラー男女が集う大井競馬場とは客層も異なる。キャップを被ったおっちゃんのような、かなりオールドタイプな「競馬場にいる人」が多い。愛車は自転車か軽トラか。ウインズ浅草みたいな感じ。わかんないかもしれないけどね。
 出店しているのも、馴染みのファストフードなんてものはない。昔ながらの売店・スタンド。串に刺したモツ煮が1本100円。ちょっと前まで、ビールもJRAの競馬場まで安かった。スタンドの内側にいるおばちゃんは、若造の僕にも「今日は勝ってる?」なんて声をかけてくれる。なんて温かい、なんてのんびりとした競馬場なんだろう。
 しかも船橋競馬場、ほとんどの開催がナイターだ。たとえ真冬であってもナイターだ。船橋に真冬のナイター競馬を見に行ったことがあるが、それはそれは人がいない。それでも楽しく競馬は見れるし、なんだかんだでビールは美味い。ああ、でも熱燗も捨てがたいですね……

 こんなことを書いていて意外に思われるかもしれないが、僕の競馬歴は長くない。2018年の宝塚記念が競馬デビューなので、まだ丸2年も経っていない。
 別に競馬に毛ほどの興味もなかった僕が競馬にドハマりした理由の一つに、オタクとの親和性が高いことがあると思う。特に鉄道やミリタリーが趣味ならなおさらだ。まあ、僕がそうなのだが。
 競馬新聞やスポーツ新聞の競馬欄を見てみれば、競馬は1つのレースにおける情報量が極めて多い。枠順、馬体重、今までの成績、調教の様子、馬場状態、ジョッキー……挙げていけばキリがないくらいデータに溢れている。趣味というのは何でもそうだとは思うけれど、鉄道やミリタリーというのも特にそういう趣味だと思う。掘れば掘るだけ情報にたどり着き、それを吸収することに喜びを覚えるのが鉄道やミリタリーのオタクとしては一般的な姿だと思う。故に鉄道やミリタリーのオタク諸氏は、競馬にとても適性があるのだ。
 しかも、競馬というのは馬と人とが織りなすドラマに溢れている。夢がある。ロマンがある。「新京阪P6とC59が全力で競争したらどうなるのか」「Bf109とスピットファイアどっちが強い」などと考えたことはあるだろう。競馬というのは、まさにそれをやっている。毎週末にJRAで、地方競馬も含めれば毎日どこかで競馬は行われている。騎手、馬主、調教師、厩務員、調教助手、その他ありとあらゆるスタッフ……様々な人が関わって。僕の思う鉄道やミリタリーの魅力もこういうところにある。故に僕は競馬にハマったのだ。

 そして、競馬には鉄道やミリタリーとは大きく違う魅力がある。
 お金が、増えるのだ。たまに。鉄道やミリタリーが好きでいて、お金が減ることはあったけれど増えたことは一度もない。でも、競馬ならお金が増える。これはすごい。まあ、結構な確率で減りますが。でも今年は回収率100%超えてるもんね。
 実は始めて競馬をした一昨年の宝塚記念で僕は始めての「勝ち」を経験した。ビギナーズラックと言ってしまえばそれまでだが、勝ちは勝ちだ。

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 7番人気ミッキーロケットと、10番人気の香港馬ワーザーの馬連。これを400円も買っているわけだ。すると……
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 こうなる。もうシビレちゃった。こうなったらもう転がり落ちてしまうのも無理はない。しかしまあ、よくこんな馬券を買ったものである。とはいえ僕はすっかり穴党に育ってしまったので、わりと今でもこういうことはしているのだが。
 この勝ち分は西川口の鯉鍋に化け、残りの9000円を入れたジタンの箱をどこかに落としたというのは僕の持つ一つの伝説である。思い出させてくれてありがとう。もう2度とお金を落とさない。

 今週末の日曜、ダービーがある。ダービーが何なのか、知らない人に説明するのは面倒なのでしない。競馬ファンにとって年に2回ある、最高の盛り上がりを見せるタイミングの1つだと思ってくれれば差し支えない。もう一つは年末の有馬記念だと思う。
 コロナ禍の渦中にあっても、競馬は無観客ではありこそ開催されていた。競馬場に行けない、紙の馬券が買えない寂しさはあったが、それでも他のスポーツが軒並み開催中止になっていたことを思えばかなり恵まれていた方だろう。
 残念ながら無観客開催は延長されてしまったけれど、それでもダービーは開催される。めでたいことだ。
 もしも長々と書いたこの駄文を読んで競馬に、ダービーに興味を持ってくれたのならば、今週の日曜日午後3時位からテレビをつけてみてほしい。NHKとフジテレビ系列で中継をしているはずだ。ラジオだったらラジオ日経第一がおすすめだ。
 競馬場では会えないけれど、せめてみんなでダービーが見れたら嬉しい。せっかくなのでビールも飲みましょう。時期だし空豆なんか茹でてさ。冷蔵庫に、秘蔵のサッポロクラシックが4本眠っているのだ。

 料理はしているけれど、特に書くことがないので料理コーナーはお休み。写真は上げているので、よかったら僕のTwitterでも見てくださいな。
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