痔の痛みに唸っているとき、手術をしようかどうしようか悩んでいるとき、そして実際に入院が決まったあと。
僕は、ネット上に存在する痔の先輩たちの体験談を読みふけっておりました。
同じ痔瘻、しかも読んでいるうちに同じ病院に入院していた人だとわかったやつなんか、筋書きを空で言えるくらい読み込みました。
だってさあ、怖いじゃない。
お尻の穴切られるんだから……
僕も、痔瘻の手術で入院する誰かのほんの少しの助けになればと思ってブログを書いているのですが……いやあ、中々更新せずに申し訳ございません。
というのも、最近もうすっかり具合がよくってですね。
数ヶ月前はお尻に膿が溜まって痛みに苦しみ、数週間前は排便後のウォシュレットで絶叫していたなんて嘘みたい。
術後7週間が経ちまして、創部がかなり盛り上がってきたのを感じています。まあ、毎日座薬入れたり軟膏塗ったりは続いているわけですが。
こうしてお尻にストレスのない状態を過ごしていると、段々と自分が痔の患者であったことを忘れてくる訳です。
そういうことで、どうもブログの更新が途絶えておりました。
鉄は熱いうちに打てと申しますけれども、尻が痛いうちに痔のブログを書けということですよ。
これまでのあらすじ
お尻の穴の横にバイパストンネルが開通し、そこに膿がたまる。
世にも恐ろしい肛門周囲膿瘍という状態でアナルホスピタルを訪れたところ、あれよあれよという間に一泊入院。お尻にメスを入れられてしまう。
私の肛門に指を入れたドクターが「痔瘻です。触ればわかります」と無情な宣告。ここで私は一大決心、ついに手術を決断したのでありました。
大腸内視鏡から肛門エコー。麻酔のもとに夢うつつ。あっというまに手術の時間がやってまいりまして……
腰椎麻酔に電気メス。ストレッチャーは病棟を行く。痛み止めが切れるとやってくる、ズンドンズンドンという尻の痛み……!
今回は手術の翌日から。術後の入院編でございます。
mikoyann.hatenablog.com
mikoyann.hatenablog.com
痔瘻根治手術(単純) ⅡLs
翌日、ドクターから手術の説明を改めて受けました。
しかし、痔瘻"根治"手術って字面で見ると頼もしいというか、なんとも凄みがありますね。
お尻に膿のトンネルができる痔瘻にも色々種類がありますが、僕の場合は「ⅡLs」。
トンネルが肛門括約筋の中を通っているものの、その中では浅め。トンネルの位置もお尻の穴に近い。そしてトンネルは枝分かれせずに単純ストレート。
なんかラーメン屋のオーダーみたいですね。こってり、細麺、ニンニク入り。定食のライス普通に変更。*1
そして、手術はLayOpen法で行われました。
つまりお尻を切って膿のトンネルの天井を取っ払い、そこが塞がらないように糸で縫って広げてある。
……アナル拡張じゃん。
僕の痔瘻は体の前側にあったので、そういうのは「くり抜き法」……筋肉を切らず膿のトンネルだけをくり抜くタイプの手術になると予想していました。*2
まあ、筋肉を切っても問題ないくらい痔瘻が浅かったということでしょう。
傷の状態から、当初の予定通り術後6日の入院となりました。
痛み、出血、傷の処置(セルフ)
痔の手術を受けたあと、一番大変と言ってもいいのがこれ。ある意味メインイベントです。
痛みについてなのですが、正直なところあまり苦ではなかったのですよ。
まあ、これはロキソニンがしっかり仕事をしていてくれたおかげだというのを、退院後に思い知るわけですが。
入院中、毎日色々な状態を申告するのですが、その中に11段階で痛みを評価するスケールがありました。0が痛くない、10が死ぬほど痛い。
僕の場合、術後翌日だけ「2」、そのあとはずっと「1」か「ほぼ0ですね」と答えていました。
同室の患者さんたちと特にコミュニケーションを取る機会は無かったのですが、問診の際に漏れ聞こえてくるのは
「『4』くらいですね……」 「……『7』」
などという恐ろしい数字が。ドクターに「あなた、かなり軽い部類ですからね」と言われてはいましたが……
やはり、手術した部位が多いほど、傷が大きいほど痛くなるようです。「7」って言ってた人は、いぼ痔を4箇所もやったのだとか……
いぼ痔の手術後は大量出血の可能性があるようですが、痔瘻の場合はそこまでではないようです。まあ、いぼ痔は血管の問題ですもんね。
こういう痛みや出血のケアを考えると、僕は入院しての手術で良かったと思います。
日帰り手術というのも痔や手術の種類によってありますが、翌日から動けるわけじゃなし。
痛みや出血の不安に家で向き合うのも大変だと思います。実際大量に出血したら、病院に行かなきゃならないわけですから。
トイレのあと、入浴のあと、傷の処置は自分でやります。
「強力ポステリザン」という、何やらいかにも頼もしげなこちらの軟膏薬。「強力」ですよ。痔の薬としては実はマイルドな方なのだそうですが。
「大腸菌死菌浮遊液配合」というのがミソでして、死んだ大腸菌のかけらが入ってる。傷口に塗ると白血球がこれに反応して寄ってきて、色んな汚いものからの感染を防ぎ、傷の治りを早くするのだそうです。
最初、看護師さんからの説明では
「薬をパッドに100円玉くらいの大きさに塗って、ペタッと優しく貼って下さいね」
とのことだったので、そのようにして診察に行ったところ……
「これ、ダメ。傷に軟膏が当たらなきゃ意味ないでしょ?」
「トイレのあとは傷を指で広げてウォシュレットでよく洗って。軟膏は傷口に指で直で擦り込んで」
という強い指導をドクターから受ける。考えてみればこちらのほうが理にかなっているので、トイレの度にお尻に薬を塗る生活のスタートです。2日もやれば慣れます。
退院後はパッド・軟膏・ウォシュレットが無いとき用のおしり拭き・パッドを捨てる用のチャック付き袋をセットにして百均のポーチで持ち歩いておりました。
ちなみにこの生理用ナプキンのようなパッド、「Zパッド」といいます。*3出血以外にも色々な浸出液が出ますので、それを吸収して服を汚さないでいてくれる。術後3週間くらいは浸出液が出ましたね。
どうもこの病院のオリジナルらしく、暇なので調べていたら近所の医療器具製造の工場が出てくる。そしてその工場の会社が、この病院から一番近い薬局をやっている……
……アナルホスピタルどころではないですよ、これは。
アナルインダストリーにアナルファーマーシーまで備える、一大アナルコンツェルンだったわけですよ。
**
色々書けてしまったので、入院中の生活についてはまた改めて。
寝て起きて風呂入って飯食って寝る、ローマ貴族のような生活でした。……尻は切られているが。